結論から言うと:『トイ・ストーリー2』に登場する強欲なおもちゃコレクター兼「アルのトイ・バーン」の店長であるアル・マクウィギンのビジュアルおよびキャラクターのモデルは、ピクサー社内に実在した熱狂的なおもちゃコレクターのスタッフたちや、当時アメリカで見られた「おもちゃを箱から一切出さずに収集価値だけを追い求める大人のコレクター」のステレオタイプをユーモラスに風刺したものです。アルの愛車は1970年代の名車「AMCペーサー(AMC Pacer)」が元ネタであり、ウッディを誘拐した目的は、日本の「トイ・ミュージアム」に高額で売却して一獲千金を狙うためでした。日本語吹き替え声優は名優・赤羽に代わり樋浦勉氏が、オリジナル版はウェイン・ナイト氏がそれぞれ圧倒的な怪演を見せています。
皆様こんにちは!金曜ロードショーなどでも何度も放送され、世代を超えて愛されているディズニー・ピクサーの傑作『トイ・ストーリー2』。本作で、ガレージセールからウッディを盗み出す悪役として強烈なインパクトを残したのが、おもちゃ屋の店長アル・マクウィギンです。鶏の着ぐるみを着てCMで踊り、スナック菓子をこぼしながらテレビを見る彼の姿は、どこか憎めないコミカルさがあります。今回は、このアルというキャラクターのモデルとなった実在の人物や、彼の愛車の元ネタ、そして作品に隠された日本との深い関わりについて、徹底的に考察していきます!
おもちゃ屋アルのビジュアルのモデル!ピクサーのインハウスコレクターたちの風刺
アル・マクウィギンの外見は、小太りで禿げ上がった頭、無精髭、そしておもちゃに対して異常なまでの執着を見せるという、非常に特徴的なものです。このデザインの誕生について、ピクサーの制作チームは「自分たちの身近にいるコレクターや、アニメーター自身をモデルにした」と明かしています。当時のピクサー社内には、仕事の傍らヴィンテージトイの収集に熱中するスタッフが多数在籍しており、彼らがレア物を見つけた時の異常な興奮ぶりや、おもちゃを傷つけないようにピンセットで扱う様子などを観察し、誇張してキャラクターに投影したのです。
また、アルのキャラクター性には、監督のジョン・ラセターをはじめとする制作陣の「おもちゃに対する哲学」が込められています。ラセター監督自身も膨大なコレクションを持つおもちゃ好きですが、「おもちゃは子供たちに遊ばれてこそ命が宿る」という強い信念を持っていました。それに対してアルは、「おもちゃをガラスケースに入れ、箱から出さず、単なる金銭的価値や投機の対象として扱う」という大人のコレクターの象徴です。ウッディを徹底的にクリーニングし、鼻の擦り傷を絵の具で塗りつぶすシーンは、おもちゃから子供たちとの思い出(歴史)を消し去る行為として、映画の中で非常に象徴的に描かれています。
アルの愛車の元ネタ!1970年代の個性派コンパクトカー「AMCペーサー」
作中でアルがウッディを誘拐して逃走する際に乗っている、特徴的な丸みを帯びた緑色の車。この車には明確な元ネタが存在します。それは、1975年から1979年までアメリカのAMC(アメリカン・モーターズ・コーポレーション)が製造していたコンパクトカー「AMCペーサー(AMC Pacer)」です。
AMCペーサーは、その極端に横幅が広く、まるで金魚鉢のようにガラス面積が大きい個性的なデザインから、当時は「未来の車」として注目されたものの、後に「アメリカ史上最も奇妙なデザインの車」の一つとして数えられるようになりました。ピクサーのスタッフは、アルの偏屈でどこか滑稽なキャラクター性に完璧にマッチする車として、あえてこのAMCペーサーを選びました。このこだわりは、のちに車自体がキャラクターとして登場するピクサー映画『カーズ』シリーズにも受け継がれ、ペーサーをモデルにしたキャラクターが悪役グループとして登場するきっかけにもなっています。
ウッディ誘拐の目的と日本との深い関わり!「トイ・ミュージアム」の計画
アルがガレージセールでウッディを見つけ、持ち主のアンディの母親が売るのを拒否したにもかかわらず盗み出したのには、明確な目的がありました。それは、ウッディが1950年代に放送されていた人気人形劇『ウッディのラウンドアップ』の極めて希少なプレミア人形だったからです。
アルはすでに、同シリーズのブルズアイ(馬)、ジェシー(カウガール)、そして未開封のプロスペクター(炭鉱夫)の3点を収集しており、ウッディが揃うことで「完全なセット」が完成する状態でした。この4点セットが揃うと、日本の東京にあるという「コナミ・トイ・ミュージアム(劇中では単に日本のトイ・ミュージアムとされる)」が、破格の金額で買い取る契約になっていたのです。アルにとって、ウッディを手に入れることは、日本の博物館に売却して大金を稼ぎ、自分の人生を一発逆転させるための千載一遇のチャンスでした。1990年代後半当時、日本のヴィンテージトイ市場やコレクター熱は世界的に有名であり、ピクサーのスタッフがその世相をリアルに反映させてストーリーを作ったことが伺えます。
アルを演じた日本語吹き替え声優・樋浦勉氏とオリジナル版ウェイン・ナイト氏の魅力
アルのキャラクターをこれほどまでに魅力的な悪役にしたのは、声優陣の素晴らしい演技力です。英語オリジナル版でアルの声を演じたのは、映画『ジュラシック・パーク』の悪徳システムエンジニア・デニス・ネドリー役や、ドラマ『となりのサインフェルド』のニューマン役で知られるコメディ俳優ウェイン・ナイト氏です。彼の持つ、神経質でありながらどこかユーモラスで、スナック菓子をむさぼるような卑屈な演技は、アルのビジュアルと完璧にシンクロしていました。
そして、日本語吹き替え版でアルの声を担当したのが、実力派声優の樋浦勉氏です。樋浦氏は、普段は洋画の吹き替えで渋い二枚目役や重厚な父親役などを多く演じていますが、本作では声を一段と高くし、ウッディを見つけた時の「ウッハハハ!」という下品な笑い声や、電話口での必死の交渉、ウッディに脱走された時の絶望の叫びなど、アルの「強欲で小物感あふれる悪党」のキャラクターを完璧に日本語で表現し、映画のエンタメ性を大きく高めました。
よくある質問(FAQ)
おもちゃ屋アルは映画の最後でどうなりましたか?
ウッディたちに脱出され、日本の博物館への売却計画が完全に頓挫したアルは、莫大な売却益を逃しただけでなく、自分のおもちゃ屋「アルのトイ・バーン」の経営も悪化。映画の終盤のテレビCMで、鶏の着ぐるみを着ながら「おもちゃが全部1ドル……」と涙を流しながら格安セールを行う悲惨な姿が描かれ、自業自得の結末を迎えました。
アルがウッディを直させた「修理屋のおじいさん」は誰ですか?
ウッディの破れた腕を縫い直し、全身をピカピカにクリーニングした修理屋のおじいさんは、ピクサーの短編映画『ゲーリーじいさんのチェス(Geri’s Game)』の主人公ゲーリー(Geri)です。ピクサー作品ならではの遊び心あふれるカメオ出演として、ファンの間で非常に有名なトリビアです。
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